小惑星2004 FH

セドナのニュースに世界が沸いている頃発見された30mくらいの小惑星が、地球近傍を通過しました。最接近は4万3千Kmくらいで、月軌道よりずっと内側、静止軌道のやや向こうです。

発表された資料によると軌道は地球近傍を遠地点とする楕円形で典型的な「太陽を背にして近づいてくる」地球近傍小天体です。差し渡し30mくらいだと大気圏で爆発して地上にはぱらぱらと石が落ちてくる程度だと思われますが、それでも中型の水爆くらいの運動エネルギーをもっています。これが100mくらいになると人類が作ったどの水爆よりも大きな規模のエネルギーになり、東京に落ちれば関東平野の隅々まで壊滅します。
今回発見された小惑星は発見から地球通過まで4日程度でした。仮に直径100mの小惑星が同じ軌道を通ったとして、発見から地球衝突まで一ヶ月あるでしょうか。東京に落ちてくるとわかってから衝突まで20日として、落ち着いて避難できるでしょうか。
小惑星を発見したリニア計画はもともと近地球軌道にある1Km級の天体*1を調べ尽くすのが目的で運用されています。この目標はほぼ達成されていますが、より小さい地球近傍小天体に関しては予算は出ていません。NASAやMITは今回の件を大々的に報じて予算獲得に向かうでしょう。
リニア計画は小惑星のほかにも彗星を多数発見しています。彗星には発見者の名前がつきますので、リニア彗星と呼ばれる彗星がいくつもあります。この5月には二大彗星接近というイベントがありますが、片方はリニア彗星です。
ところで毎年30兆円も赤字を垂れ流しているわが国ですが、年間1千億円くらいぽんと出して同様の機能を持った衛星を毎年打ち上げる、あるいはNEO専門の天文台を多数作るくらいのことをしてもバチはあたらないと思います。

*1:衝突すると文明が滅びかねないほどの影響が出る

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