先日書いた記事は結構な自信作だったのですが、どうもコンピュータマニア以外にわかってもらおうという努力が足りなかったようです。何を言っているのかわからない的なレスポンスを複数いただきました。反省です。
ということで、もう少しわかりやすく図を交えて説明します。
プロジェクタを使ったプレゼンテーション
まず、ごく普通のプレゼンテーションの状態を図で説明します。
ラップトップPCにプロジェクタを接続した場合、プロジェクタにスライドを表示しながら手元のPCの内蔵ディスプレイには発表者ツールを使うことができます。
これによってスライドの要点を記したメモや、次のスライドを見ながら発表ができます。
PCの中で起きていること
次に、PCの中で起きていることを説明します。下の図で、青い四角の部分がPCの中のソフトウェアです。PCには内蔵ディスプレイがあり、プロジェクタが接続されています。内蔵ディスプレイとプロジェクタは図の右に描いてあります。
PCのソフトウェアは内蔵ディスプレイやプロジェクタに出力する画像を内部で作り出しします。これは「フレームバッファ」と呼ばれるデータです。フレームバッファは出力装置ごとに作り出されます。つまり、内蔵ディスプレイとプロジェクタのそれぞれに専用フレームバッファが用意されます。
Zoomによるデスクトップ共有(プロジェクタがあるとき)
Zoom会議でデスクトップを共有するとき、Zoomは先のフレームバッファをアクセスします。つまり、出力先のディスプレイやプロジェクタからデータを取ってくるのではなく、これらの装置に送るために作られたデータを横からいただいているのです。Zoomはこのデータを音声と同時にクラウドに送り、ほかのユーザーに配信します。
プロジェクタが無いとき
さて、自宅作業の時にはプロジェクタを使いません。そうすると、PCのソフトウェアはプロジェクタ用のフレームバッファを作りません。このため、Zoomは仕方なく内蔵ディスプレイ用のフレームバッファからデータを持ってきます。
自宅でラップトップPCを使ってZoom会議をするとき、スライドか発表者ツールのどちらかしか使えないのはこのためです。
ディスプレイ・エミュレータを使う
そこでプロジェクタの代わりに、出力ポートにディスプレイ・エミュレータをさします。ディスプレイ・エミュレータは親指ほどの大きさも無いプラグ*1ですが、PCからはディスプレイとして認識されます*2。
そのため、PCのソフトは内部にディスプレイ・エミュレータ用のフレームバッファを作り出します。このフレームバッファの縦横のサイズは、プロジェクタの場合と同様にWindowsやMacOSから変更できます。
したがって映像出力こそ出てきませんが、ディスプレイ・エミュレータにスライドを出力するよう設定すれば、手元の内蔵ディスプレイに発表者ツールを表示したまま、Zoomでスライド画面を参加者に共有できるのです。
ディスプレイ・エミュレータの種類
PCの出力ポートに合わせて、HDMI、DisplayPort、USB Type-Cポート*3があります。
安い製品ですので博打の要素はありますが、 試してみるとよいでしょう。Amazonへのリンクを張りますが、私からのおすすめ機種というわけではありません。また、価格が変動しているようです*4。ご自身で価格を確認してから注文してください。