プシュケの涙

読んで心を動かされても、なかなか感想を書く気になれない本があります。特に、精神的に参っているときに読んで余計落ち込んだ本などというモノは、なかなか紹介しにくいです。それでも良い本だから紹介したいんですけどね。何にせよ、放っておけばたまっていくばかりです。

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)

同級生の吉野が校舎から投身自殺した。
この物語はそのシーンから始まります。夏休み中に補習を受けていた主人公「俺」はその瞬間を目撃し、同じく目撃した友達とともに先生にそのことを告げます。
死んだ彼女は不登校でろくに学級に姿を現さない子でした。その子がなぜ夏休みにわざわざ学校で投身自殺を?いきなり主人公の前に現れた他のクラスの「変人」は、その死因が納得できないとして、主人公を無理矢理謎解きにつきあわせます。
やりきれない小説でした。変人とともに彼女の死の原因に迫るのが前半で、主人公視点。後半では時間が巻き戻されて死んだ吉野さんが生前何を考えていたのかが読者に説明されます。荒んだ家庭環境、頭の悪いクラスメイト。つぶれそうになりながら必死で生きていた毎日の中で見つけた一筋の光。望んだのはほんの小さな幸せ。
作り話でありながら、現実の残酷さを呪いたくなるような、さわやかな結末でした。
今年3本の指に入るおすすめ。

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