省エネ高校生探偵

省エネを以て是とする、非アクティブ系の高校生である折木捧太郎(おれきほうたろう)は、高校OGである姉に無理矢理入れられた「古典部」の初日、千反田える(ちたんだえる)と出会います。
3年連続入部希望者0で無人のはずの古典部になぜ人が。しかもいつの間にか千反田さんは誰も気づかない間に密室に閉じ込められていたのです。日常のたいていのことを「どうでもいい」と、受け流して省エネを貫いている折木君ですが、この日を境に千反田さんの好奇心に振り回されることになります。
わたし、気になります

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

久しぶりにシリーズ物を一気に読みました。「氷菓」は作者のデビュー作で、好評につき続編、そのまた続編と続いています。古典部シリーズ5冊目は昨年単行本として出版されています。角川はこの作者の作品を単行本→文庫本の順で出しているそうです。昔の早川SFみたいです。
千反田さんは地元の名士千反田家の娘で、楚々とした外見のうえ、友達にも敬語といういかにもお嬢様。別に人間嫌いでもないが省エネ派であり、多少ぶっきらぼうな折木君ですが、このお嬢様が時折、というかいつも発作のように繰り出す好奇心に振り回されて調子は狂いっぱなし。不承不承身の回りに起きる謎を解いていく羽目になります。
さて、私は推理小説と言う奴をほとんど読みません。これまで読んだ数はたぶん5本の指で足ります。その私が読んでも楽しめると言うことは、推理以外のところでストーリーがきちんとまとまっているからでしょう。
短編集の第4作を除くと、各長編にはテーマらしき物があります。

  • 一作目は、バラ色の高校生活について。
  • 二作目は、才能について
  • 三作目は、期待について

二作目と三作目はテーマが似通っていますが、三作目の方が苦みが効いています。
一作目は少しパンチに欠ける嫌いがありますが、二作目、三作目のおもしろさは保証します。
二作目はひねった舞台設定の上で小刻みに小規模推理が繰り広げられ、飽きません。そして、「えっ」と驚くようなどんでん返しの連続。
三作目は他視点で複数の話しが進みながら、それらが絡み合って最後に一つになっていく構成がうまいです。
主人公、ヒロイン、いずれも名前が素っ頓狂ですが、1作目がライトノベルとして刊行されたことと無関係では無いでしょう。もっとも、有名な推理小説の登場人物からもじっているのを私が知らないだけかもしれませんが。
主人公とヒロインは同じ学校、同じ部活で時間を共有していますが、作中、何度か主人公は彼女が自分と違う世界を生きていることを実感します。その、かすかな距離感がうまい具合に話のスパイスとして効いているのが短編集である四作目ですね。
主人公と友達が少々理屈っぽいのが気になりますが、彼らの恋模様も含めて楽しい作品に仕上がっています。
どうでもいいけど、私の頭の中では折木君の声は終始、櫻井孝宏さんでした。うーむ。