猫に鈴をつける

たった今、福島第一原発二号機の燃料棒の全体が冷却水から露出していたというニュースが飛び込んできました。
続いて注水作業が再開され水位は上がりつつあることが確認されたという速報が流されました。事態は好転しつつありますが、まだ冷却水に浸っていない部分があります。その部分はかなりの高温になっているはずで、事ここに至っては何が起きても不思議ではありません。
露出していた原因はポンプの燃料切れとのこと。海水注入に使っているポンプの燃料切れに気づかずにいたため、長時間燃料棒が冷却水から出ていたそうです。テレビニュースのスタジオでは「東電と国が全力を挙げて取り組んでいる現場にしてはあまりにもお粗末ではないか」とキャスターが発言していました。彼女が正しいのかもしれません。私にはわかりません。
スタジオに座っているだけなら何でも言えますけどね。
想像してみればわかることですが、原子炉の中を覗いて水位を確認することなんてできやしないのです。運転中の沸騰水型原発の圧力容器内部は100気圧近く、温度は数百度あります。蓋を開けてのぞき込むなど不可能です。内部にカメラを入れる?冗談じゃありません。狂気のような放射線レベルで動作するカメラなんてありません。
こんなシステムの内部温度だの水量だの圧力だの燃料棒の状態だのを詳細に調べるなどはなっから無理なのです。そもそも原子炉建屋そのものが放射線管理区域であり立ち入りが制限されています。炉の中に配置された頑丈きわまりないセンサーから入ってくるわずかなデータを元に、何もかも推測するしかありません。定常状態ですら、手探り同然なのです。発電タービンが停止、予備電源装置全停止状態で、いったいどんなテレメトリ・データを元に水位を調べているのか私には想像すらできません。冷却すらままならない原子炉に手探りで無理矢理海水を注水するなどというめちゃめちゃな作業です。失敗すれば一帯が高濃度の放射能に汚染されるなどというプレッシャーの下、事態が変転する中で継続して細かな気配りなどできるものなのでしょうか。
今この時も、猫に鈴をつけようとしている人たちがいます。
地震津波に翻弄され、システムの安定性がめちゃめちゃになった原子炉を寝かしつけようと命がけで働いている人たちがいるのです。こんなときくらいは「お粗末」などと切って捨てるのはやめて、成功を祈ろうではないですか。