ThinkPad x100eまとめ

LenovoThinkPad x100eを買ってひと月ちょい経ちました。この辺でまとめておきます。

ThinkPad x100eの概要

最初に、購入したThinkPad x100eの概要をまとめておきます。

x100eの最大の個性は良くも悪くもCPUで、これを許容できるか否かでx100eを買うか買わないかが決まると言えそうです。

良くできた入力デバイス

もともとこのPCを買おうと思ったのは、同じLenovoIdeaPadの使いにくさがどうにも我慢できなくなって来たためです。その使いにくさは大きく4つあって、

  • キーボード入力が耐えられないほど苦痛
  • タッチパッドが耐えられないほど苦痛
  • 画面が狭すぎる
  • あまりにも動作が遅い

といった点でした。これらは当初の目的であった治具としての使い方では全く問題になりませんでしたが、役目を終えて家庭用に使い始めたとたんに浮上してきたのです。
4つのうち3つは入出力で、入力だけでも2つあります。私はブラインド・タッチで入力できるため、キーボードの使いにくさは特にいらいらに直結しました。
x100eの購入に傾いた一番大きなポイントは価格とキーボードでした。本来ThinkPadブランドはキーボードのタッチや形状、配置に非常に大きなこだわりを見せています。x100eはこれまでのこだわりをかなり捨ててはやりのアイソレーション型にしてみたり、また6列キーボードに配置が変更されています。しかし、キーの間隔が比較的余裕を持って作られていること、タッチもそこそこいいこと、キートップの形状が良く練られていることなど、同価格帯の競合製品に比べると大きな強みがありました。
実売4-5万円台のポータブルPCは、ネットブックに不満なユーザーの最初の購入候補になると思えます。そのため、AcerAsusからも戦略的な価格付けの人気機種が投入されています。これらの機種も検討してみましたが、店頭で触ってすぐに落としました。
x100eのキーボードは親指が当たるキーは凸、それ以外の指が当たるキーは凹面処理がされており、キートップの正しい位置に指を置いているかどうか、見なくても確認できます。このため、打鍵時に不安を感じなくて済みます。実際使ってみてそのうち易さは実感しており、このPCを購入したのは正しい判断だったと感じています。
トラックポイントも良くできています。私はタッチパッドだけでの操作にはいつも苦痛を感じており、会社のラップトップは可能な限りマウスを使っています。トラックポイントはマウスとタッチパッドの中間程度の使いやすさであり、マウスを持ち歩かなくてもそこそこ快適に操作できます。

画質は値段なりだが、画素数は文句なし

x100eのLCDLEDバックライト付きです。
LEDバックライト液晶テレビ用の低消費電力手段*1として脚光を浴びていますが、PCに関してはテレビほど劇的な低消費電力化は期待できなさそうです。それでも、長寿命化は大きなメリットです。ラップトップPCの故障原因の大きなものとして、LCDバックライトの故障があります。冷陰極管は壊れやすく動作電圧が高いため、発光装置自身やその電源の劣化が問題になります。しかし、LEDバックライトはその心配がぐっと小さくなります。
最初に購入して思ったのは「青くて白つぶれが激しい」でした。Windows 7のコントロールパネルのの「色の調整」を使ってガンマを変更し、青の明るさを押さえ、パネルを後ろに倒し気味にしてようやく落ち着いて使えるようになります。これはもう、値段なりとしか言えません。写真のレタッチなどに使うには、よほど神経を使ってディスプレイを調整しないとだめでしょう。
一方、画素数は十分です。IdeaPad s10eは縦が600ピクセル以下であり、非常に狭い思いをしました。x100eはちょっと前のラップトップでは標準であった縦765ピクセルですのでかなり余裕があります。Windows 7Ubuntu 10.04で使っていますが、サブマシンとしては十分使える大きさです。ただし、FirefoxやOfficeなど、メニュー下の領域を積極的に使うアプリケーションでは、表示領域本体が狭くなる傾向があり、やはり狭く感じる点は否めません。PCのサイズを考えると仕方のないところです。
ノングレアである点は高く評価します。

Windows 7 Home Premium 32bit

本製品の残念賞がこれです。
私はすでにこのPCを4GBに増設しています。ノートPC用の2GB増設メモリは現在5000円を切っており、メモリは気軽に32bit OSの限界を突破させることが可能になっています。よく知られているとおり32bit Windowsは4GBを使い切ることが不可能であり、事実私は1GBほど無駄にしたまま使っています。Ubuntu 10.04ではPAEカーネルを使うことで4GB全部を32bit OSで使用できることを確認していますが、Windowsの場合はそうはいきません。
実のところ、サブマシンとして考えるなら3GB使い切る状況は考えにくいです。ですからこれで十分という考え方もあります。一方でOSに認識されるメモリは使わなければディスク・キャッシュとして使われますから、ディスクアクセス性能の向上に寄与します。32bit OSは4GBメモリ搭載時に1GBのディスクキャッシュを無駄にしているわけで、HDDが性能のネックになりがちなラップトップPCにとってはとっても残念なことです。
ラップトップPCはデスクトップPCに比べると閉じた環境であり、互換性に関する問題は比較的少ないと思われます。PCの寿命が5年と考えると今後このPCの寿命がくるまでに8GBくらいのメモリは気軽に買えるようになるのではないでしょうか。そう考えると2010年発売のこのPCで32bit OSというのは非常に残念に思います。

AMD Athlon Neo MV-40

さて、最後になりましたが、本機のスペックの中で一番悩ましいのがAthlon Neo MV-40プロセッサです。人によってはこのプロセッサを理由にして購入を断念する方もいるでしょう。
Athlon Neo MV-40には二つ大きな欠点があります。

  • シングルコアである
  • 消費電力が15Wもある

消費電力15Wというのは、実はそれほど大きく無いともいえるのですがIntelの対抗機種はCeleron SU2300は、デュアルコアで10Wです。周波数は1.2GHzですから低めですが、Wあたりの性能を考えると、Athlon NeoはCeleron SU2300の半分程度のようです。
この性能であれば消費電力は10Wを切ってほしいところです。しかしAthlon Neoは古めの65nmテクノロジを使っており消費電力の大きさは如何ともしがたいものがあります。人によっては電圧を下げているようで、私の場合、クロックをx8のときに0.8V、x4のときに0.7Vに落とすことでだいぶ排気温度が下がりました。
2010年はノートPCにもデュアルコアの波が押し寄せてきています。たとえば、小寺さんがレビューしているThinkPad x201iにはIntel Core i5が搭載されています。
デュアルコアとシングルコアを比べてみると、私は最大パフォーマンスよりも最悪時の使い勝手に大きな差を感じます。シングルコアCPUはウィルスチェックや動画処理時などの重い処理で簡単に処理が飽和してしまいます。ところが、デュアルコアCPUの場合はあいたコアで別の処理ができるため、PCでの「待たされている感」が大幅に緩和されるのです。
この使用感の差は今後はより強調されるのではないかと私は考えています。というのは、SSDの普及で、ストレージが最大のボトルネックの座をCPUに譲るケースが出てくるからです。たとえば、私は2台のPCを持っています。

PC CPU コア数 コアクロック SSD BIOS画面が消えてからログオン画面までの時間 ログオンからデスクトップがそろうまで*2
Inspiron 580s Core i3 2 3.04GHz X25M 80GB 10秒 12秒
Thinkpad x100e Athlon Neo MV-40 1 1.6GHz SSDN-ST64B 17秒 40秒

ログオンまでの時間の差が主にコアクロックの差なのか主にコア数なのかはわかりませんが、CPUの差が起動時間の差であることは疑う余地はないと思われます。
2010年から2011年はCPUの切り替わりの年です。来年にはIntelから32nmテクノロジを使ったコードネームSandy Bridgeが出てきます。現在Core i3/i5の一部は32nmですが、グラフィックスは別チップであり、かつ45nmです。Sandy Bridgeはグラフィックスもコアと同じダイになります。またAMDも来年は新開発のBobcatコアを使ったコードネームOntarioを計画しており、CPUの面積は現行の半分でテクノロジは45nm、デュアルコアでグラフィックス・コアもCPUと同じダイになります。
これらの新型CPUは性能と消費電力の改善に大きく寄与しますので、来年のアップデート時にはx100eもデュアルコアで、より高い性能、より低い消費電力になるのではないかと思います。

コネクティビティ

ノートPCでは無線LANが重要になります。
このPCにはIEEE801.11b/g/n対応の無線LANが搭載されており、私の用途では十分な働きをしてくれています。一時期WiMaxが使えるといいなぁと思っていたのですが、光ポータブルをレンタルしてから、全くそんなことは思わなくなりました。
本体にはスピーカー、マイク、カメラがついており、外部ペリフェラルなしでSkypeを使えます。

Ubuntu 10.04.1

最近Ubuntu 10.04.1が発表されましたが、まだ"Unknown Thinkpad"扱いです。そのため、これまで同様メーカー提供のグラフィックス・ドライバを入れない限り、輝度調整やバッテリー動作によってPCがクラッシュすると思われます。

まとめ

さて、x100eはいいPCでしょうか。
私自身はいい買い物だったと思っています。外出時での利用が少なく、あくまでサブ機用途という私の使用方法だと、このPCはもっぱら家庭内でのロケーション・フリー用ということになります。必要なアプリケーションは高々MS Officeですので、超高性能はいりません。
シングルコアのおかげでたまに無反応になるとか、電池の持ちが悪いという欠点はありますが。4万円台で購入したPCとしては画面の広さ、キーボードの打ちやすさ、CPUの速度など十分納得できる性能です。
では他人に勧めるかというと、すこし躊躇します。私同様メインのPCは別にあって、外出時の長時間使用をしないなどの限定的な用途であれば、値崩れを前提にしておすすめできます。
ただし、このPCだけを使う、バッテリによる長時間使用もある程度考えたいといった方であれば、一つ上のクラスのx201iにするか、来年のAMD Ontario CPUでx100eがアップグレードされるまで待つことを勧めます。
x100eはコストと入出力の使いやすさのバランスの良さが光っています。私はUbuntuとのデュアルブート、CPU電圧の変更、SSDへの換装、Windows 7 Professionalへのアップグレード、4GBへの増設など結構手を入れた結果、快適な環境に仕上げることができました。涼しいところに持って行って書き物やちょっとしたプログラミングができるというのはいいことです。
Lenovoがこのパッケージを新しいCPUと64bit OSでアップグレードすることを期待しています。そうすればマニアだけではなく多くの人に喜ばれるPCになるでしょう。

*1:全画面が暗いときにはバックライトを落とすことで消費電力を落とせる

*2:Skypeが起動するまでの時間が長い