28 博士と狂人

今年も1/3が終わりました。今のところ、一番おもしろかったのは間違いなくこれ。

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

オックスフォード英語辞典。40万語を超える収録数を誇るこの辞典は、イギリスの文学に現れた用例を徹底的に引用して、発散しつつあった英語を「固定」することを目指して企画されました。結果的に70年を超える時間を要することになったOEDは、膨大な用例を集めるためにボランティアを募ります。多くのボランティアがこれに応じるのですが、多数のボランティアの中で際だって重要な貢献をした人物は、実は精神病院に収監されている殺人犯でした。
嘘のような話ですが、実話だそうで、この本はその殺人犯マイナー博士が殺人を起こした経緯から始まり、辞書というものの歴史、作成の困難さなどを非常に丁寧に説明します。
よくできた解説の例に漏れず、この本はストーリーを理解するために必要な事実と歴史を最初に非常に丁寧に、かつおもしろく説明してくれています。その甲斐あって、マイナー博士が辞書の編纂への協力を始める下りは、その作業の見事さや彼の心情が劇的に浮かび上がってきます。

文句なしにお奨め

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