26 とらドラ! スピンオフ3

本編も完結していることですし、スピンオフもこれでおしまい。これまで各メディアにおまけ的にかかれていた短篇を集め、書き下ろしを加えたものです。

スピンオフということで、ラノベ臭さの強い作品が多いのはご愛嬌。本編はオカルトともセカイ系とも無縁ですが、スピンオフ常連の不幸男、富家君のオカルト臭い設定が大暴れする作品もあります。どうでも良いけど、この作品だけ富家(とみいえ)君の名前が富家(ふけ)になっているのは誤植でしょうか。それとも「パラレルワールド作品だからね」という暗号でしょうか。
よかったのは書き下ろし作品の「ラーメン食いたい透明人間」です。気持ちばかり空回りして何もうまくいかない自分を「消えてしまいたい」と思う能登君が主人公です。でも、誰かを好きな気持ちは透明にはしたくないという、切ない心がよく書けています。透明人間のモチーフは3巻の彼の「俺、見えてる?」というセリフからでしょう。
このほか、「とらドラ!な雨宿り」もよかったけど、家出前の泰子を描いた「ドラゴン泰子」が光っています。こういう、壊れていく日常を予感させる作品には、作者の婉曲的な書き方が本当にうまくはまります。