初池波正太郎。読み始めたのは年末あたりですが、ラノベ三冊に追い越されました。
- 作者: 池波正太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/12/25
- メディア: 文庫
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いきなり途中から読んだので主人公とその周辺の人物の素性が分からず混乱しました。作者はこのシリーズで数十本の作品を書き、司馬遼太郎の言葉を借りれば、どうやらその世界に「住んで」いるようです。であればこそ、出版社は本の頭に登場人物の簡単な紹介を2、3ページ用意しておくべきではないかと思います。
さて、率直な感想。池波正太郎って、意外に文体に癖が強いです。特に引っかかるのは「のである」が頻出する点です。妙に解説的な感じがして、その度に読書のリズムが壊れます。単に私の感覚と合っていないだけかもしれません。
ストーリーに関しては最近読んだ藤沢周平とのコントラストが強い点が印象深かったです。藤沢の短編小説は精巧な工芸品のような緻密さを感じさせる文体、ストーリーになっています。遊びが少ないというか、読んでいて非常にかっちりした印象を受けます。一方、池波の作品はよく言えば自由闊達、悪く言えばアバウトな匂いがします。おそらく作者が表現方法や構成上の工夫をしているのでしょうけれど、案外、「仁三郎の顔」あたりは編集者にせっつかれた作者が「あ、もういいや」と切り上げたんじゃないかと、おかしな想像もしてしまいます。
もう一、二冊読んでみますか。