58 59 十一番目の志士

宮本武蔵を開祖とする二天一流を受け継いだ剣客天堂晋助は、長州藩高杉晋作に見出され、暗殺者として京へ向かいます。

おもろない…。
司馬遼太郎には珍しく、架空の人物を主人公とした幕末長編小説です。今風に言うとオリキャラ歴史SS。違うか。
なんというか、ばらばらなんですよ。主人公は意図を持って長州藩の政敵を殺そうと京や江戸を歩き回るのですが、次々に女性や偉人に絡みます。女性は司馬遼太郎お得意のサービスシーン要員ですが、同時に他の偉人同様に作者が読者に時世を語るための把っ手としての役割も持っています。結果的にオールスター総出演で司馬遼太郎歴史観を断片的に紹介するための小説になっています。その意味で語り部は脇役達であり、主人公は彼らの紹介者以上の役割を背負えません。
史実を題材にした暗殺者ストーリーと言うと、「ジャッカルの日」という名作を思い出します。残念ながら「十一番目の志士」には「ジャッカルの日」ほどの緊迫感も緻密さもありません。
架空の人物が主人公ということで、これまで読むのを避けていたのですが、ずっと避けていればよかったと少々後悔しています。