銭衝さんのエントリ。「大晦日の定番寸劇は常識として知っておけ」というお話。
中国語でご飯を食べて行こうと思うなら、毎年旧暦の大晦日に放送されている“春節聯歓晩会”、なかんずく趙本山の寸劇は見逃しちゃいけません。
これを読んでまったく脈絡なしに連想したのが白波五人男の口上です。日本の年末、あるいは正月に毎年歌舞伎の白波五人男をやっているか否か。私はまったく知りませんが、この演目は私の中で強烈に正月と結びついています。というのは、小学生の時に新年のテレビ番組で勢揃いの口上を見た記憶があるからです。
父親にこれは何かと聞いた答えが
「白波五人男や。白波は盗人の意味や」
でした。
おそらくは芸能人が歌舞伎の口上を練習して隠し芸として披露していたのでしょう。
私は歌舞伎に関する知識は皆無に近い*1ですが、白波五人男だけは時々ネットで検索して口上を楽しんでいます。たとえば、東京紅團の中にある歌舞伎口上散歩。
白波五人男の口上の楽しさは、その力強い七五調と、しゃれを織り込んだ楽しい言い回しにあります。あまりにすばらしい故、今でも決めぜりふ的に引用されることがあります*2。
知らざあ言って聞かせやしょう
問われて名乗るもおこがましいが
さて、どんじりに控えしは
等々。どこかで聞いたことはありませんか?
しゃれの折り込み方もたとえば、弁天小僧菊之助のそれは
百が二百と賽銭の、くすね銭さえ段々に、悪事はのぼる上の宮、
と、小気味よりリズムの中に織り込まれています。
また、日本駄右衛門の口上では40, 50, 60と数字がうまく織り込まれています。
危ねえその身の境界も、最早四十に人間の、定めはわずか五十年、六十余州に隠れのねえ、賊徒の首領日本駄右衛門
何度読んでもこのリズムにはうっとりします。そのうち歌舞伎の口上集でも読んでみようかな。