読了しました。
この巻では源氏の君の鬼畜っぷりが一層激しくなり、それとともに泣かされる女性たちの哀れが引き立ちます。だんだんこの小説の楽しみ方がわかってきました。女性の哀れを愛でる小説なんですね。東洋のラスプーチン、触れる女性を片っ端から災いに巻き込む「逆ミダス王の指」、源氏の君を軸に、美しくも悲しい女性のエピソードが風に散らされる花びらのようにちりばめられています。
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
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憂き身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば問はじとや思ふ
がいいですね。無理矢理体を奪った男に、「名を教えなければ愛してくれぬと言うのですか、なんと冷たい」と、つややかになじる様が印象的です。朧月夜の君の姿が目に浮かぶようです。