人々はHDDを低レベルフォーマットしていました。HDDを買うと、BIOSから低レベルフォーマットするのが自作派の最初の仕事でした。低レベルフォーマットすると、セクタ情報がHDDに書き込まれます。ところが、アームの長さが温度で変わることや、経年変化から、データが書かれる位置とセクタの位置が微妙にずれるのではないかと考えた人が現れました。そうだ、それを修正するツールを作ろう。HDDを若返らせるのだ!
そうして現れたのがSpinriteです。SpinriteはIBM PCのBIOSにある、「トラックフォーマット」コマンドを巧みに使って、データを壊さず再フォーマットしました。つまり、
- あるトラックのデータをRAMにコピーする
- そのトラックをフォーマットする
- そのトラックにデータをかき戻す。
すべてのトラックにこの処理を行えば、あら不思議、データをバックアップせずに再フォーマットできます。
その後、HDDにはサーボが搭載され、トラック位置にだまって追従するようになりました。別の理由から低レベルフォーマットはなくなりました。Spinriteはまだ、存在します。が、それはもう、最初に現れたときとまったく違うツールになりました。
磁気データの長期的損失が怖いユーザーは、みな記憶装置を多重化するか、バックアップをしっかりとっています。それが最良ですね。探しているソフトは面白いと思うけど、いまどき初代Spinriteのようなソフトがあるか…。正統的なバックアップに比べて、安全性が低いからねぇ。
一台余計なHDDがあるなら、unixのddコマンドでイメージを作って再書き込みすると、ご所望の機能となります。
FreeDOSから拡張BIOS経由でセクターリード、セクターライトを繰り返せばいいのか。昔それでゼロフィルするソフト作ったな。