カンムリウミスズメ

昨日の放送には参りました。最初の数分でその回の紹介があるのですが、「いかん、今日泣きそう」と口走ってしまいました。
カンムリウミスズメ。孵化した翌日に幼鳥が巣立ちます。海に向けて。50メートルの断崖を飛び降りて。
カンムリウミスズメはすでに全世界に数千羽しかいない、絶滅危惧種だそうです。一生のほとんどを海上で生活します。ペンギンと平行進化しており、水中で高速に泳ぐことができるよう翼が強く太くなり、水中で抵抗が少ない紡錘系の体をしています。そのため、飛行能力が極端に弱く、放送中何度か飛んでいましたが30cm以上高く飛んでいるようには思えませんでした。トビウオのほうが飛行が上手です。
数年に一度、成鳥は九州にある小さな断崖の島にほうほうの体で上陸します。それも夜、猛禽の目を避けて。そして岩場にある小さな穴に卵を産み、2羽でかわるがわる抱きながら孵化を待ちます。卵の数は2個。同じ日に孵化し、翌日の夜、敵の目を避けて巣立ちます。断崖に向けて。
その巣立ちの様子が放送されました。もう、テレビの前で悲痛なこの気持ちをどうしようとおろおろしていました。落ちるのです。一回に10m以上、直下の岩に向けて。あるときは壁面を滑り降り、あるときは垂直落下。生まれたばかりで10gしかなく、全身を柔らかい羽毛に包まれているので衝撃が少ない、とは桜井アナウンサーの弁。しかし、首の骨を折ったり、脚の骨を折ったりといったことがないとはいえません。
頭の端っこでは「こいつらの親には、一羽として失敗したやつはいない。」とダーウィン主義者が理性を振り回していますが、断崖を落ちていく雛の姿の前に、そんな声は無力です。
あるものは、深いくぼみに落ちて力尽き、座り込みます。ある雛はカニに襲われて隙間に引きずり込まれます。
断崖の下で雛に向かって必死に声をかける親鳥。その声が通じたのか、再び立ち上がる雛。親鳥からして飛行能力が著しく低いですから、雛と一緒に降りるなど望むべくもありません。夫婦で一羽ずつ咥えて降りるって進化はなかったのかよ。
この番組は終わりに必ず「生きる」ということに光を当てて、毎度毎度涙腺がやばいのですが、今回は本当に30分間画面に釘付けでした。再放送があったらぜひどうぞ。
さて、検索してみたところ、ウミスズメのページがありました。

カンムリウミスズメの小さな物語というページがあって、読みいってしまいました。繁殖のときにしか上陸しないこの鳥の研究の苦労なども淡々と書いてあります。繁殖地は絶壁に囲まれた孤島なのですが、わざわざ魚釣りにやってきて、ごみを捨てていくバカのため、カラスが繁殖してカンムリウミスズメの卵が襲われているそうです。空海に効率よく殺していらっしゃることで。