涼宮ハルヒの憂鬱

いわずと知れた昨年のヒットアニメの原作です。ブームの時にはスルーしていましたが、今回の出張から帰ってきて、英国の鉛色の空より気持ちが沈んでいたので気分転換に買いました。既刊9冊を4日で読破。それもほとんど電車の中。「ライト」ノベルの看板に嘘偽りはありません。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

シリーズ第一作になる本作は、もともと読みきりとして書かれていたのでよくまとまっています。高校に進学したばかりの平凡な男子生徒、通称「キョン」君が主人公。成績が若干悪いのと、心の中のローテンションな突っ込みが少々くどいのを除くと、ごく平凡な男子です。
が、「偶然」後ろの席に電波女がいたのが運の付き。クラスメートを十把ひとからげに無視していた彼女「涼宮はるひ」となぜか話をするようになり、とうとう謎の結社の立ち上げにつき合わされます。しかし、彼女が「部室が空いてるらしいから」「面白そうだから」「絶対謎の転校生だから」と適当に引っ張ってきた生徒たちは、実はそれぞれ宇宙人、未来人、超能力者で、しかも、頼みもしないのに主人公に身分を明らかにした彼らの言うことを信じるならば、「涼宮はるひ」は想像を絶する存在である。と、いうお話。
学園どたばたコメディの体で始まりますが、じりじりとホラー度が上がっていき、とうとうクライマックスで読者はタイトルの意味を理解できるしかけです。崩壊する現実を食い止める魔法は、あっさりと予想が付いてしまうので、いまいち緊迫感にかけるのが難点。
軽い読み物が好きで、くどい語り口が嫌いでなければこれと2作目はお勧めできます。むしろケリのつけ方は2作目のほうがよくできていました。3作目以降はどうでもいいや。
主人公のキョン君は、涼宮はるひが「にかっ」と笑うたびに振り回される運命です。パニクるなと、一言忠告してあげたい。