インターネットは釣堀だ

「インターネットは儲からない」といわれることに関して、「Googleが各種サービスを無料化している」という観点から書かれたエントリーです。

そもそも経済圏が違うのだ。経済圏というか、経済原理そのものが違うのだ。だから、お金は必要とされないんだ。

お金がないのに、経済や価値が回転するなんてすごいじゃないか。全く新しい世界だ。これこそ資本主義や社会主義と並ぶ程の、新しく、すばらしい経済世界じゃないか。

甘いなぁ、というのが素直な感想です。
Googleが無料化しているサービスは、すべてGoogleの扱う広告となりうるか、Googleの集客マシンとなりうるものです。実験的に直近の利益抜きでやっているものがあるのは事実として、将来的に商売にしようとしている点に意義を挟む人はいないでしょう。ビジネスモデルが不明のまま巨大化したYou Tubeにしても、将来まで持ち出しのままサービスを続けるだろうとは思えません。
Googleをはじめとする無料サービスは、ほぼすべてわれわれユーザーへの広告媒体として提供されています。その経済的枠組みにおいて無料サービスの利用者とは、お金を吸い上げられる立場です。吸い上げられるというと語弊がありますが、財布の紐がゆるくなるだろうことを期待されている立場です。
広告主はかつての雑誌やテレビよりもターゲットを絞った効率よい投資を行い、Googleがかつての雑誌やテレビのかわりにお金を徴収しているのです。その経済でのわれわれの立場は消費者です。そして、広告主以外で、その経済に参加して利益を上げる障壁がどんどん高くなっています。それが「インターネットは儲からない」ということです。GoogleやYahoo以外が儲からない世の中が始まっているということです。
たしかに、われわれは各種の無料サービスを享受できるようになりました。しかしそれは回線の向こうの連中が儲かっているからです。儲からなくなったら手を引くことが最初から決まっているのです。お金が要らないすばらしい経済なんかではありません。お金が儲からないと即座に瓦礫と帰すかもしれない世界です。そうなったらいち早く抜けたプレイヤーは儲けた金で余生を楽しく暮らし、無料サービスに基づいてコンテンツを積み上げていたわれわれは瓦礫すら残らないネットの上で"404"を見ながら唖然とするしかありません。
悪く言えばわれわれは釣堀の鯉です。よく釣れるから客は釣堀に金を払います。客が金を払うから釣堀は鯉にえさをくれます。これを「ああ、苦労しなくても餌をもらえるから釣堀はいいなぁ」と言えるかどうか。そして客にはなれてもどうやら釣堀の経営を始めるのは難しそうです。
無論、インターネットはわれわれブラウザ利用者にとって人生のすべてではありません。気晴らしに使っている分には安くて楽しい遊園地になってきました。しかし、お金はどっとGoogleやYahooに一方通行で流れ込んでいることを忘れてはいけません。実世界の産業なら空洞化と呼ばれたことでしょう。