下甲介焼灼

去年、花粉症の予防方法として鼻の中の粘膜の一部を焼くという手術を知りました。レーザー他アルゴン・プラズマなどで焼く方法があり、総称して下甲介焼灼と呼ぶそうです。下甲介とは鼻の中のひだのうち、一番大きなものの名前です。
さて、唐突ですが本日焼いてまいりました。ここ数年、ボストン赴任中を除いて地獄のような春をすごしてきましたので、焼いてよくなるなら鼻の中どころか左手くらい焼いてもらって結構と言う気持ちです(嘘)。
病院にいったのが今月6日で、先生いわく「少し遅いですよ」。手術後は鼻の中がひどいやけどをしている状態なので、花粉症による炎症と同様の症状になり、花粉症の時期と重ならないよう数週間前に治療するのが常だとか。つまり、12月中ごろから見てもらって新年早々手術を行う、あるいは旧年中に手術を行うべしというのが先生の意見です。
そうはいっても、この辺は1/0判断でなく、「人によっては手術後の腫れが長引くので」早めのほうがいいとのこと。先生からは十分にリスクの説明を受けたので、自分の判断で手術してもらうことにしました。
初診の日に手術を受けられるか調べるための血液検査やX検査を受け、次の週に鼻の辺りのX線CT検査を受けました。人によって別の病気などを持っているためとの事。さらに翌週に先生より説明を受け、手術を受けてもいいでしょうとのことでした。
基本的に死なない病気であるせいか、先生は手術をした場合のリスク*1や、効果がほとんどない場合もあるという説明を繰り返し行われました。
そのリスクを理解したうえで、手術をお願いした次第です。いやもう、すっかり春が嫌いになってますから。
で、今日は昼から手術です。最終的なチェックとして体温と血圧を測りながら本人確認を行い、腕に氏名と生年月日を記したバンドを巻きます。その後の問診中に両方の鼻に麻酔薬入りのガーゼを二枚も突っ込まれて自分の体の穴の開き具合が空恐ろしく感じる稀有な経験をしました。意外にくしゃみが出ないものです。
以後、最後の問診のあと、送り出し、手術室までの案内、手術室での付き添いと3人の看護師さんに次々と面倒を見ていただきましたが、申し送りのときに間違いが起きないための工夫など、仕事の面で参考になるなあと感心しました。
手術室の準備室に入って寝たベッドから、ベルト・コンベア上の機械で隣のベッドに移されて、そのベッドで手術室に運ばれました。コンベアの上では頭の中でサンダーバードの音楽がかかっていましたが、こういう一軒無駄に見えるギミックにも、外界と手術を行う場所の間に障壁を築くといった意味があるのかもしれません。
さて、手術室で腕を固定され、点滴を打たれ、反対側の手で血圧の測定の準備が終わったころには、さっきの鼻の穴の麻酔がすっかり効いています。この後、ガーゼを交換して鼻の中を処置した後、手術が始まります。
手術は先生一人と看護師さん一人の組でやっていたようです。会話からレーザーは3Wと5Wの出力でやっていたことがわかりました。ただ、石英ファイバーの一部に問題があり、そこから光が漏れているために出力不足気味だった模様。(どこの組織も機材で苦労しているな)と同情しているうちにレーザーが鼻の穴に入れられました。
3Wというのは、1ccの水を1秒間に3度上げる仕事をします。たいしたことは無いように思えますが、会話を聞いていると、どうやらビーム径は0.4mmのよう。つまりざっくり言って1/8平方mmくらいの面積です。ということは1平方センチあたり2400Wくらいのエネルギー密度になります。
手術台の上でざっくり計算して(2KW/cm^2くらいか)と、計算したことにやや後悔するころに照射開始。鼻の奥を焼くときだけ鈍い痛みがありましたが、おおむね無痛です。ただ、さっきの計算のせいで結構心臓がばくばくいってました(^^;
(パルスレーザーなのかな、違うかな)と考えているうちに、手術自体はそれほど苦痛なく終わりました。レーザーの取り扱いに関してはかなり慎重を期しているらしく、かっちりした手続きが繰り返されて小気味良かったです。
病院から出て、駅で電車を待っているころから大量の鼻水がでてきました。それはもうあふれるという表現がぴったり。強くかむなといわれているのでゆっくりと鼻をぬぐいながら家に帰りました。片方の鼻から軽い出血がありましたが、にじむ程度です。
手術から8時間経過しましたが、今のところ洟がたくさん出るくらいで、痛いとかひどい出血はありません。
この春がどうなるか、結果が楽しみです。

*1:たとえば患部が他の組織と癒着して別の手術が必要になることもある。