お前は犯罪を犯す人間の顔つきだな

血液型占いは実に楽しい遊びでした。何が楽しいって、「へっ、お前は人間の性質を4つに分類するつもりか、馬鹿か?」と見下したような顔で相手をへこましてやることが出来る、実に愉快な話題だったからです。
それも終わりました。
西暦2005年の日本において、血液型は疑似科学を背景にもつ強力な差別手段として機能しつつあります。いわく「君の血液型はこの仕事には向いていない」「あなたの血液型とは相性が悪い」「あなたの子の血液型にはこの教育法が向いている」。
血液型性格判断には科学的根拠がありません。それは迷信です。迷信は飲み屋で語る分には罪のない遊びですが、社会生活での判断基準にするならば忌まわしい差別でしかありません。
かつて、血液型性格判断と同様な人間識別を行おうとした心理学の大家がいました。チェザーレ・ロンブローゾです。彼は犯罪者の身体的特徴を洗い出すことで、犯罪を犯すべく生まれた人間を識別する方法を確立しうると考えました。生来的犯罪人説です。「世の中には運命的に犯罪を犯すべく生まれた人間がいて、彼らは不可避的に犯罪を起こす。そのような人間は身体的特徴によって見分けることが出来る」という、これ以上ないようなアンチユートピア的学説は、19世紀においてすら激しい反発を受け、退けられています*1。ロンブローゾの学説が支持され政策に取り込まれていたら、吐き気のするような国民浄化が行われたことでしょう。
血液型によって人間が決定論的に一定の性格を持つ、という考え方には科学的根拠がありません。それを信じるのは自由ですが、執拗に主張すれば、結果的に自分の子供たちを根拠無き差別が支配する陰鬱な社会に叩き込むことになるだろうということは忘れないでください。あなたがたの子供がどうなろうと知ったことではありませんが、老婆心まで。
単なる童話であるピノキオですら排除されたのに、実際に差別機械として社会で利用されている血液型性格判断がなぜこうも支持されるのか、理解に苦しみます。

//www1.doshisha.ac.jp/~yshibana/etc/blood/archive/ethics.htm" title="「血液型と性格」の問題点">「血液型と性格」の問題点:血液型性格判断の社会利用がどれほど深刻なものになりつつあるか警鐘を鳴らしているページ。meinekoさん経由(id:meineko:20051202)。
//ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BE">チェザーレ・ロンブローゾ:Wikipedia

*1:感情的理由ではなく、科学的根拠に乏しすぎることによって退けられたことは、注目に値します

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