降下中

はやぶさイトカワに向けてリハーサル降下中です。JAXAでは管制室のライブ中継のほか、文字による実況が行われています。

そのほか、最近紹介していなかったニュースなど

最近の宇宙ニュースはタイトルに"!"とか"?"が多いです。安っぽいから止めてください。タイトルをフレンドリーにするよりもっと小出しに情報くれ〜。

イトカワ画像

実況ページには刻々と近づくイトカワの画像が映し出されています。近づくにつれ、イトカワにひっぱたかれそうな気がしているのは私だけでしょうか。

降下中止

Go/NoGo判定に異常をきたしたため中止との事。詳細は不明。

降下中止の原因

異常が発見されたため中止とのことでしたが、少しだけ詳しいプレスリリースが出ています。

姿勢制御と、降下中の高度と速度の制御は、高度約700m付近まで順調に行われましたが、自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱したことを検出したため、日本時間12時30分に地上からの指令で以降の試験を中止し、続いて上昇指令を送信しました。

航法誤差が許容値を逸脱したことについて

  • その原因
  • 対策

は明らかにされていません。そもそも原因がわかったのかどうかすら明らかにはされていません。とにかくもう一度降下リハーサルを行うとの事。

中止の原因(詳細)

プレスリリースには航法誤差増大の理由が書いてありませんが、宇宙作家クラブの掲示板に記者会見の模様が詳しく書いてあり、そこにいくらか情報があります。(観測所雑記帳経由)

直接的な原因は探査機自身の機器で降下目標を追跡できなくなったことです。それにあわせてリアクションホイールの故障により細かい姿勢制御が出来なくなったことが輪をかけたのだろうという見解。本当の原因はこれからデータをダウンロードして解析しなければわかりません。
地球に帰還するには12月のある時点でイトカワを離れなければなりません。一方、降下リハーサル及び試料採取に関しては、イトカワの自転と、地球の自転の関係で時期が限られます*1
また、管制センターは今回の降下リハーサルでかなり体力を消耗しているので、データをすぐ解析してすぐ再試行と言うわけには行きません。
問題をあぶりだすためのリハーサルですので中止そのものが失敗というわけではありません。むしろ本番前に問題を発見できたのは成功といってかまいません。あとは時間との競争になりますが、がんばってください。

高解像度画像が出てこない理由

はやぶさの成果として高解像度画像が発表されないことについて以前少し触れました。松浦氏のBlogにその理由と思われることが書いてあります。なお、松浦氏自身タイトルに"?"をつけていますから、これを事実と受け取るか否かは読み手の判断となります。
話の筋は簡単で、米国の研究者はNASAによる豊富なミッションで腕を磨いており、単なるプレス写真から重要な科学的発見を見抜くことが出来るというものです。したがって、経験未熟な日本の研究者が成果を横取りされた無いためには、データの囲い込みが必要だということです。

ここまでさんざん苦労をして、やっと目的地にたどり着き、データを入手できたのに、あっという間に他人に解析成果を横取りされるかも知れない????そのことに対して、かなり日本の研究者らは神経質になっているようなのだ。

このことについて、まだ考えがまとまっていません。ただ、永遠にまとまらない気もしますので、思いついたことだけ書き添えておきます。

  • 研究にはバザール方式もオープンソースもない。そりゃそうだろう。
  • 生データをリアルタイムでバンバン出すバカは居ない、という常識も理解できる。
  • JAXAは「はやぶさ」を事あるごとに工学試験衛星であると強調している。にもかかわらず、(公式には)目的の本質ではない小惑星探査についてここまで閉鎖的になるのは目的を履き違えていないか。二次的な成果であれば世界に対して広く速やかにデータを提供するのが税金の正しい使い方ではないか。
    • 学術的に正確なデータになるまで待て、と言うが、少々正確じゃなくていいからどんどん公開しろ
  • 米国に(工学試験衛星の副産物である)成果を横取りされることを嫌っている研究者が居るとして、彼らは「はやぶさ」プロジェクトに何らかの寄与をしているのか。それは、国民への情報還元を阻むに値するほど大きな寄与なのか。
  • 外国の研究者がはやぶさから何らかの研究成果を挙げた場合、それは日本の税金の無駄使いになるのか。
    • ならねぇだろ。
    • もしなるのならば、今後日本人研究者より優秀な外国人研究者をすばる望遠鏡スーパーカミオカンデSpring-8KEKなどの大規模科学施設に近づけるべきではない。
    • 当然、日本の研究者は他国の施設で大きな成果を挙げるべきではない。
  • 仮に期限を切って独占利用するとして、その期間はいかほどか。3ヶ月か、半年か。なぜ明らかにしない。
    • そもそもJAXAは独占利用したいとすら言ってないから、これ自身は下衆のかんぐりなんだけど。
    • なんにせよ理解不能な情報封鎖が3ヶ月も続くようなら心情としてとても応援は出来ない。
    • 半年続くようなら今後宇宙探査に税金を投入するのは一切反対。

そういうわけで、情報封鎖は納得がいかないというのが今の気分。

*1:日本から見える(可視)時でなければ、いざと言うときにイトカワ上空のはやぶさにコマンドが送れない。「のぞみ」は最も重要な瞬間を可視でないときに迎えたため、苦い思いをしている。一方、可視が夜の場合、管制センターが体力的に息切れする可能性がある。

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