降下スケジュール発表

2基目のリアクションホイール故障のあと、やきもきさせてくれたはやぶさですが、ついにイトカワへの降下スケジュールが発表されました。

 1.11月 4日(金)リハーサル降下、88万人の名前を載せたターゲットマーカ*投下
 2.11月12日(土)第1回着陸・試料採取
 3.11月25日(金)第2回着陸・試料採取

リアクションホイールの故障によって化学燃料の不足による帰還不能が心配されたのですが、繊細な操作を行うことで地球への帰還のめどが立ったとのことです。チームの方においては非常な重圧を受けながらだったと思いますが、まずは明るい結果がでて何よりです。
フェイルセイフ
今回のはやぶさミッションは、一か八かという1機体制の悪い面に振り回されました。
日本の宇宙探査計画の問題は、恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―によれば探査機を1機ずつしか飛ばせないことにあります。アメリカのパイオニア探査機、マリナー探査機、バイキング探査機、現在活動中の火星ローバーなど華々しい成果を挙げたミッションの多くは2機で1組になっています。これは長期の活動中の不測の事態に対応するためです。NASAは90年代の予算縮小と探査機の大型化で2機体制をやめたことがあります。そのひとつ、土星探査機カッシーニは見事な成功を収めましたが、木星探査機ガリレオはメインアンテナが開かず、予定したミッションきぼが縮小されました。
日本が2機1組で飛ばせない理由は単純です。予算がないからです。はやぶさの開発費用は探査機が127億円、ロケットが68億円で、ロケットの価格がいかにも高すぎます。これなら打ち上げは外国に出して、探査機を2機作るほうが実りが多いのではないでしょうか。
ロケット打ち上げ技術は国策として確保すべきものですが、はやぶさ打ち上げに使ったM-Vは固体燃料ロケットです。一方、静止衛星など国益において譲れないような衛星は液体燃料ロケットであるH-IIで打ち上げます。ということは、固体燃料ロケットの打ち上げは、経験値の維持以外に意味を見出せません。
探査機の開発費のほとんどは部品コストより開発コストだと思われますので、2機作ることによる費用増加はかなり抑えられるはずです。
宇宙探査は最近の予算縮小のあおりを食らって工学試験などの名をまとっていますが、本質的には基礎科学です。であれば、ミッションの成功は科学的成果で測られるべきです。M-Vをやめて打ち上げは外国に委託し、ミッションの本質である探査機を2機体制にするほうがよいと考えますがどうでしょうか。

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