良い本とは何でしょうか。もちろん人によって違うと思いますが、読んで楽しい本が良い本であるということに対する異議は少ないでしょう。では、読んで楽しい本とは?私は以下の二つを挙げます。
- 内容がよい。
- 日本語がよい*1。
内容がすばらしく、日本語は限りなく駄目という稀有な本に出会ったとき、私は心に深い深い傷を負ってしまいました。
- 作者: トニージョーンズ,Tony Jones,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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では、原子時計とは何でしょうか。なぜ、うるう秒なしで済むように1秒を決めなかったのでしょうか。
この本にはそのすべてが解説されているといってかまいません。それまで国際標準単位の中でもっとも信頼できなかった「時間」が、原子時計の登場によって一挙に他をぶち抜いて精密単位のトップに躍り出ます。その精度たるや、一般相対性理論による重力、速度の補正が必要になるほどの精度です。
こういった技術的な話のほか、ぐらぐらと揺れながら回転する地球と精密時計の間でどうやって折り合いを取るかなど、興味深い話が続きます。
しかし、この本は実にいらいらする本でした。「ですます」と「である」がごっちゃになっているのです。全体はである調で通してあるものの、平均して2ページに1度ほど、酷いところでは1ページに数箇所もですますが現れます。その結果、読書のリズムはめちゃめちゃに破壊され、いい気分で進んでいた理解が、がくんと停止します。出版社の罪は重いといえます。
内容は平易で面白いのですが、人に勧められるのがためらわれる仕上げの本です。
*1:英語読んで楽しかったのなんて1冊だけさ。ふんっ。