バッファローウィング

初めてバッファローウィングという言葉を聞いたのはほんの5年くらい前だったと思います。渡米中の話で
バッファローは保護動物だったはずだが。さすがアメリカ。食うとは」
と感心した覚えがあります。
バッファローは現在個体が激減しており、保護されているとはいえ相変わらず絶滅の危機に瀕しています。かつては100万頭単位でいたこの動物が見る影もありません。すべては乱獲のためです。あるときは楽しみのために、あるときにはインデアン制圧のために徹底的に撃ち殺したのが原因です。
絶滅に関してはシルバーバーグの「地上から消えた動物」という名著がありますが、この本によれば個体数が多い動物にとっては個体数が多いということ自体が種族維持の必須条件です。バッファローのように強く見える動物も仔細に見れば子供の数が少ないなどなかなか繁殖が難しい欠点があるものです。一度こういった大集団が縮小を開始するとあとは坂を転がり落ちるように減っていきます。
人の手によって行われた最大規模の絶滅は北米にいたリョコウバトで、個体数が50億羽(!)という推定もあります。全長40cmのやや大振りな鳥ですが、徹底的な乱獲の対象になってすりつぶされるようにこの世から消えました。ちなみにリョコウバトの保護に尽力していた人も銃で撃ち殺されたという徹底振りです。
また、われわれに近いところでは江戸幕府に開国を強要したペリーの来日目的が捕鯨船の前線補給基地設立にあったことが有名です。これなども大西洋のマッコウクジラを捕り尽くした捕鯨船が太平洋に進出したことに端を発します。日本人は「鯨には捨てるところがない」というほど活用していましたが、アメリカ人はマッコウクジラの頭の油を工業目的に使っていただけですから、捕獲も次から次へでした。
今でこそ自然保護などとやかましくよその国に説教をたれますが、アメリカの歴史はある意味他の国にはない大量殺戮の歴史です。こういう話を聞かせてやれば、テロリスト諸氏も少しおとなしくなるかも。