「ライバルは日本企業じゃない」(2/2)

Samsungが携帯電話ブランドとしてここまで大きなものに成長した背景には、(日本企業が)*1日本独自の携帯電話規格に追われ、NTTドコモとの協業に疲弊し、海外向け製品に力を入れることができなかったからだ。

皮肉ですね。ぜひNTTでディジタル携帯電話に携わったかたがたには胸に刻んでほしい言葉です。
携帯電話やタクシー無線などは、アメリカで技術が確立すると日本のメーカーが郵政省外郭団体の指導の下に集まって、よく似た違う規格を確立してきた歴史があります。要するに同じ規格にすると米国から量産中の安い製品が流れ込んできて太刀打ちできないので内国産業保護のための非関税障壁として非国際規格を作っていたわけです。
この政策は1950年代なら絶対正義だったと思いますが、問題は鉄鋼などの基本産業や電子機器でアメリカに追いついた70年代はともかく、半導体など先端技術で同等になった80年代にも同じ考え方しかできなかったことです。結果的に「どうして同じ土俵で戦わないのだ」と恫喝されたのが80年代後半に始まる半導体摩擦、通信機摩擦です。しぶしぶ市場を開いた結果携帯電話が激安になったのはご存知のとおり。
滑稽なのは、90年代に入っても考えがかわらなかった点で、独自のPDC方式を使ったためにへとへとになるまで働いて作った携帯を海外で売れないという妙な図式になってしまいました。NTTの言うことを聞いて半年毎に携帯をリリースしたムーバファミリーは海外ではさっぱりです。反対にNTTに袖にされてしぶしぶ弱小(?)J-Phoneに売っていたSHARPJ-PhoneVodafoneに買収されたためにカメラ付きGSMを作らざるを得なくなり、それが欧州でヒットするというこれも不思議な流れになってしまいました。
CDMA2000も規格が乱立してしまいました。各国とも思惑があってのことのようです。内国産業保護のために独自規格を作った国は、結局国際競争に敗れます。今後は妙な規格ができないことを祈るのみです。

*1:カッコ内は酔漢

/* -----codeの行番号----- */